◆ 目次 ◆ ———————————————————————-
(1) 所長だより
(2) 児童・生徒の理解と指導 ―教師の「視点取得能力」の獲得と育成を中心に―
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◇ 所長だより ◇
武庫川女子大学におけるシンポジウムについて
教職教育開発センター所長 田部俊充
去る5月25日、関西の女子大学の雄、武庫川女子大学教育学部設置記念シンポジウムに参加し、女子大学における教師教育について報告を行ってきました。
武庫川女子大学は阪神電車の鳴尾駅から徒歩7分。阪神甲子園球場のすぐそばで、発展著しい西宮市に位置しています。
今年で開学80周年を迎え、その記念すべき年に、文学部教育委学科から教育学部教育学科への拡大改組(定員240名)、そして学校教育センターに研究部門を加えて附置研究所とするのを機にシンポジウムが開催されました。
関西で教師教育の実績を挙げてきた武庫川女子大学、同志社女子大学、京都女子大学、奈良女子大学、関西学院大学とともに、関東の代表として日本女子大学に声をかけて下さり、女子栄養大学などの関係者の方々と対応と連携のアイデアについて話し合う、ということで、誇らしく思うとともに責任の重さを感じました。
基調報告は武庫川女子大学学校教育センター・センター長の田中毎実先生の「女子大学の教師教育を創る」というお話でした。
その後、教育学部設置のいきさつ、関西の女子大を中心とする教育系学部の設置状況、女子大学、教師教育といった点の報告と情報交換を行いました。
これからの教員養成を女子大学が作り上げていく、という意気込みが感じられ、とても有意義なシンポウムでした。
どうすれば連携し、ともに力を発揮しあい、支え合うことができるのか、女子大学の強みをいかした教師教育を協力して創ろう、という前向きな熱い気持ちが会場に満ちるのを感じました。
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◇ カリキュラム・マネジメントと総合的な学習の時間 ◇
家政学部児童学科特任教授 稲葉 秀哉
【2】カリキュラム・マネジメント
(1) カリキュラム
教育課程(カリキュラム)とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を子供の心身の発達に応じ、授業時数との関係において総合的に組織した学校の教育計画です。そして、教育課程の編成主体は各学校です。(4月号参照)
新学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力として、「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」等を挙げています。また、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力(情報モラルを含む)を重要視しています。
そして、それらの育成のために、各学校においては、「教科等横断的な学習」を充実することや、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して行うことが求められています。
(2) カリキュラム・マネジメント
今回の学習指導要領の改訂の大きな特徴の一つに「カリキュラム・マネジメント」があります。
各学校においては、子供たちの姿や地域の実情等を踏まえて、各学校が設定する教育目標を実現するために、どのような教育課程を編成し、どのようにそれを実施・評価し改善していくのかという教育課程の管理運営が重要となります。
この実現のためには、学校全体として、児童生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育内容や時間の配分、教育課程の実施状況に基づく改善、必要な人的・物的体制の確保等を通して、教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図ることが求められます。それが「カリキュラム・マネジメント」です。
(3) カリキュラム・マネジメントの三側面
学習指導要領の総則では、カリキュラム・マネジメントについて以下の三つの側面が述べられています。
[1] 教育内容や時間の配分
児童・生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと。
[2] 教育課程の実施状況に基づく改善
教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと。
[3] 必要な人的・物的体制の確保
教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと。
カリキュラム・マネジメントとは、前述の三つの側面からの取り組みを通して、各学校が、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくことです。
本コーナーでは、特に、[1]の「児童・生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと」に焦点を当てます。
(4) 学校の教育目標
各学校の教育目標には、「知」「徳」「体」の互いに関連し合いながらバランスのとれた「生きる力」(新学習指導要領での「資質・能力」の基本理念(下図)の育成が根幹にあります。
例えば、「知」においては、
「基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、様々な問題に積極的に対応し、解決する力」
の育成を目指しています。
それゆえ、学校の教育目標の達成には、教科等横断的な視点から教育活動の改善を図ることや、学校全体を通した取組を通じて、教科等や学年を超えた組織運営の改善を行うカリキュラム・マネジメントが重要なのです。そして、総合的な学習の時間は、まさにその軸となるものです。(次号に続く)