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(1) 所長だより
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◇◆ 所長だより ◆◇
教員採用試験まっただ中で考える教員養成
教職教育開発センター所長 清水 睦美
数日前、卒業生より「相談したいことがある」というメールをもらいました。
彼女は、コロナ禍の影響を非常に大きく受けた業界で働いていましたが、コロナ禍の収束の兆しが見えないなか、企業より出向か転職かの選択を迫られ、「個人事業主」である営業職へと転職しました。
彼女の話によれば、転職先の中途採用の同期入社は20名ほどいたそうですが、数か月で半分以上の社員が精神的な困難を抱えているそうです。職場でそれほど強いストレスがあるわけではない様子だけれど、テレワークによる週1出勤という状況のもとでの中途採用は、職場の雰囲気を感じ取りにくく、横のつながりもできにくいのだといいます。
彼女自身の相談は「個人事業主」という賃金支払が理解できないまま、個人の持ち出しが多いことに戸惑っていて、それを入口として職場への不信が高まっている様子でした。
私は労働問題の専門家ではありませんので、知りうる範囲での「個人事業主」のメリットやデメリットを話し、そのバランスを保てるかどうかが仕事継続の鍵になるのではないかと話しました。
このような卒業とともに一定の距離があいた卒業生から再び連絡を受けたことで、私個人は彼女の目を通して社会状況を知る機会を得て、コロナ禍によって引き起こされている孤立や孤独の問題の一端を肌で感じました。
それと同時に、彼女が「別の立場の人からみたら、私の職場はどう見えるのか知りたいと思って連絡した」と話していたこともあり、彼女も職場のムードの中に埋没してしまう自分自身を、そこから拾い上げるために、少し遠い以前に関わった私が必要であったことも感じました。
そこには、近くもなく遠くもない「つながり」の中で、互いにいろいろなことを学ぶ場ができるのだと思いました。
教職教育開発センターでは、次年度に向けて「教職」にある卒業生のつながりを少しずつ作っていこうという試みを始めました。
コロナ禍により人と人の距離はこれまでになく広げられてしまったのですが、やはりそうした遠さは人々を孤立させていきます。
近くもなく遠くもないという関係として、「卒業生」という枠組みを利用したつながりは、いいアンカーになるのではないかと考えています。
そのような機会には是非ご参加いただきたくお願いいたします。