カモミールnetマガジン

2025年5月号

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   カモミールnetマガジン 2025年 5月号

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このメールマガジンは、日本女子大学教職総合センターの
卒業生ネットワークにご登録いただいた方にお送りしています。

+‥【目次】‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
(1)目白が丘だより
(2)「卒業生ネットワーク」拡充に向けて
(3)卒業生発 リレーエッセイ
(4)研究・教育の現場から
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□■– 目白が丘だより ————■□

<<教職総合センター発足のごあいさつ>>
              教職総合センター所長 瀬尾 美紀子

 2025年4月に新しく教職総合センターが発足し、所長に就任しました瀬尾美紀子です。新センターの概要についてご説明させていただきます。

 新センターが設置された目的は、これまでの教職教育開発センターと教職課程委員会を統合して、本学の教職教育を組織的に充実し発展させることにあります。

 近年、教育界の変化は目まぐるしく、教職教育の状況も刻々と変わってきています。例えば、教員採用試験の早期化や、次期学習指導要領の改訂とセットで議論されている教員養成改革などです。また、本学全体の大きな動きとして、学部学科再編も進んでいます。そうした内外の変化に迅速かつ柔軟に対応するために、新センターではカリキュラム部門、教育実習部門、教職キャリア部門の3つの部門を設置しました。

 旧教職開発センターとの関係としましては、その大半の役割を、教職キャリア部門が引き継ぐことになります。卒業生の皆様に向けて継続される事業としましては、カモミールネットマガジンの発行、卒業生と教職志望学生との交流および懇談会(年2回予定)となります。

 世間では「教職離れ」がニュースになっていますが、幸いなことに本学の免許取得者数や教員への就職者数に大きな影響は見られていません。卒業生の皆様には、教職志望学生への変わらないご支援・ご協力を賜ることができますと幸いです。教職総合センタースタッフ一同、これからも卒業生の皆様のネットワーク充実と発展に努めて参りたいと存じます。

□■– 「卒業生ネットワーク」拡充に向けて ————■□

<< 教職総合センターが活動開始>>
  
 「教職総合センター」は4月、活動を開始しました。卒業生ネットワーク「カモミールnet」は継続し、卒業生皆様のお役に立てるよう、さらに充実させてまいります。併せて、センターHPも順次改修を進めているところです。
 また、学生との「交流会」(10月)及び「懇談会」(2月)も引き続き実施予定ですので、詳細が決まりましたら改めてお知らせいたします。

<<カモミールnet登録情報更新のお願い>>
 新年度となり、登録情報が変わられた方は、変更手続きをお願いいたします。下記センターHPより、ご自身で変更が可能です。操作方法等がご不明な場合は、センターまでお問合せください。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 https://kyoshoku.jwu.ac.jp/member/login/
 
  
□■–卒業生 リレーエッセイ————■□

<<続ければ続けるほど面白い >>
        齋藤 果織(埼玉県久喜市立砂原小学校 教諭、人文社会学部教育学科 2016年3月卒業)      

 「教員という職は面白い。この職に就いて良かった。」教職に就いて10年目を迎える今年度、最も強くこの気持ちを抱いています。

 この思いに気づくことができたのは、令和6年度埼玉県の学力向上に資する福井県への派遣研修教員として、埼玉を離れ、新しい環境で教員経験を積みながら、回顧する時間をいただいたことが影響しています。生まれも育ちも就職先も埼玉の私にとって、福井県への派遣は挑戦でした。学校行事一つをとっても運営の仕方が異なり、初任者に戻ったような気持ちになることが多々ありました。わからないという不安を強く感じましたが、何とかやり遂げ、子どもたちの変容が見えてくると、大きな喜びを感じ、次はこうしてみたいとやる気がみなぎってきたのです。「教材研究を楽しんでいる先生と授業ができる今年の子どもたちは、幸せだね。」と校長先生が声をかけてくださったことがあり、夢中で教材研究に励んでいたこと、楽しんでいたことに気づいたのでした。

 私が教職を本気で目指したのは、教育実習で上手くいかなかった悔しさからでした。心のどこかで、自分の悔しさを晴らすために教員を続けているような気がして、後ろめたい気持ちになることもありましたが、今、後ろめたさはありません。教員という職の面白さ、魅力に取りつかれ、純粋に教職を楽しんでいるからです。続ければ続けるほど面白くなるのではないかと、この先も楽しみで仕方ありません。「知は盗まれない」自分で得た「知」は誰にも盗まれず、財産となる。大学時代にある先生が紹介してくださった言葉です。教職に就いて得た「知」は、確かに私の財産となっています。

 この春から教職に就いた初任者の先生方は、どっと疲れが出てくる頃でしょう。そんな時には、面白い、楽しいと思える瞬間を見つけてみると、エネルギーが湧いてくるはずです。そして、数年後、そのエネルギーはきっと、今よりも大きくなっていることでしょう。

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※皆様の「卒業生 リレーエッセイ」投稿を募集しております。教職に就いて感じていらっしゃること、日々の教育実践、同世代や後輩たちに伝えたいことなどをご執筆ください。字数は600~800字です。投稿を希望される方はセンターまでご一報ください。お待ちしております(教職総合センター)。


□■– 研究・教育の現場から ————■□

<<「学びの多様化学校」への期待>>
           教育学科特任教授 久保寺 浩 

 令和7年4月12日(土)、神奈川県鎌倉市立由比ガ浜中学校の開校式が行われました。この学校は鎌倉市立御成中学校の分校という位置付けの「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」です(*1)。

  学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)は、令和7年度開校を含めた設置状況は、次のようになっています。
   【学びの多様化学校の設置状況(単位:校)】(小中一貫校は小学校・中学校それぞれに計上)
    校種別:小(12)、中(40)、高(11)
    形態別:本校型(22)、分校型(5)、分教室型(22)、コース指定型(9)
    国公私別:公立(37)、私立(21)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htmから

 毎年10月に前年度の全国の児童生徒の状況として公表される「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の2023(令和5)年度の調査結果は、小中学校の長期欠席者数は493,440人(前年度460,648人)、高等学校は 104,814人(前年度122,771人)としてます。このうち、小・中学校における不登校児童生徒数は 346,482人(前年度299,048 人)であり、前年度から47,434人 (15.9%)増加し、11年連続増加し過去最多となっています(*2)。

 不登校児童生徒への対応は、各学校や自治体等によって様々な取組がなされてきていますが、コロナ禍という特殊な状況期における減少を除いて右肩上がりで推移しています。こうした中での学校教育法施行規則第56条等に基づいて不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施することができるとされる学校である「学びの多様化学校」の設置は、児童生徒の学習の保障はもちろん、安全で安心できる居場所づくりの視点として重要です。

 開校した由比ガ浜中学校は今年度1~3年生の計31人が入学しており、教育課程における総合的な学習の時間の時間増や、音楽・美術・技術家庭を統合した科目の設定、校舎内での落ち着きのある物理的な居場所スペースの設置など工夫が取り入れられています(*3)。

 全国60校を超える数の「学びの多様化学校」の取り組みは、今後も自治体を中心に拡充を進めるとともにその成果や課題を設置自治体内に留めることなく積極的に広く共有していくことが大切で、改めて注視したいと考えます。「学びの多様化学校」の取組に学び、学校管理職は積極的にマネジメント力を発揮して、自校の置かれた状況の中で無理なく進められるよう創意工夫を凝らし、学校生活で悩みを抱える一人ひとりの児童生徒を大切にした丁寧に寄り添う教育が期待されます。

*1、3 2025(令和7)年4月13日「神奈川新聞」18面記事より
*2 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」2024(令和6).10.31